
野茂英雄投手の代名詞として知られる「トルネード投法」。打者に背中を向ける独特なフォームは、多くの人に強い印象を残しました。一方で、このフォームが禁止されているという話を耳にしたことがある方も多いはずです。今回はトルネード投法の禁止説の真相、名付け親、そして野茂以外の使用者について調査しました。
トルネード投法は禁止なのか
結論として、トルネード投法そのものを一括して禁止する規定は、公認野球規則には存在しません。ただし、ルール面でいくつかの注意点があります。
ボーク判定のリスクに注意
トルネード投法は体を大きく回転させる複雑な動作のため、「走者あり」のケースに限り、投球中に動きが止まると「二段モーション」と判断される場合があります。回転の勢いで軸足がプレートから外れたり、位置がずれたりすることもボークの対象です。動作が途切れず一連の流れとして続いていれば、フォーム自体が問題視されることはありません。
参考サイト:スポジョバ
走者がいる場面では使いにくい
トルネード投法は振り出してからリリースまでの時間が長く、走者への警戒が難しいフォームです。盗塁を許しやすいため、実戦では走者がいない場面に限られる傾向が強くなります。この実質的な制約が、「禁止されている」という印象につながったとも考えられます。
禁止という誤解が広まった理由
過去「二段モーション」が反則投球とされていた時期があり、変則フォームへの規制という印象が残ったとされています。しかし、2018年には投球動作の二段モーションを禁止とするルールが削除されました。過去禁止されていた名残が今もなお、反則投球という印象に繋がっていると考えられます。加えて身体への負担が大きいため、指導者が習得を止めるケースも見られます。
トルネード投法の名付け親
「トルネード投法」という呼び名が定着したのは、野茂英雄投手のプロ入りがきっかけでした。1990年、近鉄バファローズに入団した野茂英雄投手の独特なフォームは、大きな話題を集めました。球団はこの投法を売り出すため、名称を一般公募する企画を実施しました。寄せられた案の中から、竜巻を意味する「トルネード投法」が選ばれ、現在まで広く使われる名称となりました。
参考サイト:Yahoo!ニュース
高校時代は旋風投法と呼ばれていた
野茂英雄投手がプロ入りする前、成城工業高校在籍時には別の呼び方が存在していました。当時の監督は、体を捻る独特なフォームを「旋風投法」または「つむじ風投法」と名付けていたと伝えられています。プロ入り後に改めて命名されたことで、トルネードという呼び名が世間に広く知られるようになりました。
トルネード投法のメカニズム
トルネード投法の最大の特徴は、投球方向とは逆に上半身を深く捻り、その反動を利用してボールに強大な力を伝える点にあります。この動作により、体幹・股関節・肩甲骨まわりの筋群が連動し、腕だけに頼らない全身投球が実現します。捻りが大きいほど「タメ」が生まれ、打者からはリリースポイントが見えづらくなり、球速以上の体感速度をもたらす効果もあります。一方で、腰や肩への負荷が通常フォームより高く、強靭な下半身と高い柔軟性がなければ故障リスクが増大します。
野茂以外のトルネード投法の選手
トルネード投法、あるいはそれに近いフォームを取り入れた選手は、国内外に複数存在します。
高校野球
興南高校時代に春夏連覇を達成した島袋洋奨投手は、「琉球トルネード」という異名で広く知られました。小柄な体格をカバーするために生み出されたフォームで、プロ入り後もそのスタイルを貫いています。また元阪神の久保田智之投手も、高校時代は完全なトルネードフォームで投げていました。
日本プロ野球
野茂英雄投手を参考にフォームを取り入れた、元巨人の髙井俊投手は本人そっくりの動きが話題となりました。元ソフトバンクの森福允彦投手はトルネード気味のサイドスローとして活躍しています。千葉ロッテの益田直也投手も、上半身をふらつかせる変則的な投法を持ち味としています。
メジャーリーグ
メジャーでは野茂英雄投手以前にも、ルイス・ティアント投手が深い捻りのフォームで知られていました。近年ではジョニー・クエト投手が、野茂を彷彿とさせるほど打者に背を向ける動きで注目を集めています。その他、マッケンジー・ゴア投手やネストル・コルテス・ジュニア投手など、現役選手にも近いフォームを使う例も見られます。一方、マルチフォームで知られるショーン・ノリンのように、複数のフォームを使い分ける投手にとってはトルネードを「引き出しの一つ」として活用する例もあり、変則投法の中でも特に応用範囲の広いスタイルといえます。
野茂英雄の功績と影響
1995年にドジャースへ移籍した際、日本人野手を除く投手としての本格的なメジャー挑戦はほぼ前例がなく、その成功が後に続く多くの日本人選手への道を切り開きました。イチロー、松坂大輔、田中将大といった選手たちが海を渡れたのも、野茂が「日本人でも通用する」という事実を示したからこそです。また、トルネード投法から繰り出されるフォークボールは現地ファンを魅了し、日本野球への関心を世界規模で高めるきっかけにもなりました。日米両国の野球文化をつなぐ架け橋として、その影響は今も色褪せていません。
メジャーでの主な成績
1995年にドジャースでデビューした野茂投手は、1年目から13勝6敗・防御率2.54という圧倒的な数字を残し、ナショナルリーグの新人王を獲得しました。奪三振王も2度獲得しており、トルネード投法から繰り出されるフォークボールは打者にとって攻略困難な武器でした。また、1996年と2001年にノーヒットノーランを異なるチームで達成するという、メジャー史上でも珍しい偉業を成し遂げています。単なる「物珍しい外国人投手」にとどまらず、実力で評価を勝ち取った点に野茂投手の真の偉大さがあります。
現在の活動
現在、野茂英雄投手は自ら設立した社会人野球チーム「NOMO Baseball Club」の理事長を務めています。さらにメジャーのサンディエゴ・パドレスでは、球団アドバイザーとしても活動しています。野茂英雄 現在の収入については、現役時代に築いた資産や日米での知名度を背景に、相応の規模になっていると見られています。
NOMO Baseball Clubの公式サイトはこちら
まとめ
トルネード投法は規則で禁止されたフォームではなく、ボークに注意しながら使う変則投法です。名付け親は1990年に近鉄バファローズが行った公募であり、野茂英雄投手以外にも多くの選手がこのフォームを取り入れています。トルネード投法は独特な投球スタイルとして、今後も注目され続けるでしょう。








