2022年6月7日に元世界5階級制覇王者のノニト・ドネア選手(フィリピン)に2回TKO勝ちして、3団体王座統一を果たした井上尚弥選手。PFPランキングでは、3位から一気に1位となり
、8月までの2ヶ月間世界最強のボクサーとして最高の評価を受けました。
もともと「日本史上最高の逸材」、「モンスター」と呼ばれている井上選手ですが、PFP1位以外にもどんな功績があるのか気になるところですよね。
そこで今回は、今更聞けない井上尚弥選手の功績をまとめていきます!
PFPとは
PFPとは、Pound for poundの略称でボクシングや総合格闘技、キックボクシングなどの格闘技において、全階級で体重差のハンデがない場合は誰が最強であるかを指す称号のことです。権威のある米専門誌『ザ・リング』の初代編集長ナット・フライヤー氏によって、1950年代初期に創設されました。
多くの格闘技は、体重別に階級が分かれており、特にボクシングの階級はミニマム級〜ヘビー級まで全17階級が設定されています(ちなみに、井上尚弥選手の階級は5番目に軽いバンタム級)。
一般的に技量が同程度であれば、体重が重い方が勝つ可能性が高いというのが通説となっており、そうすると最重量級であるヘビー級の世界チャンピオンが最強ということになりますが、仮に体重差がないと仮定し、全階級のボクサーが同じ条件で戦った場合に誰が一番強いのかを示す指標がPFPとなっています。
マイク・タイソン選手やフロイド・メイウェザー選手ら、そうそうたるメンバーが名を連ねる「勲章」のような存在です。
井上尚弥の功績
ここからは、井上尚弥選手が成し遂げた功績をまとめていきます。
高校生初のアマチュア7冠
井上尚弥選手の伝説は、プロ入り前から始まっていました。
高校1年生では、インターハイ・国体・選抜の三冠を達成。2年生で国体を連覇すると、3年生で初めての国際大会インドネシア大統領杯に出場し、金メダルを獲得。インターハイと全日本選手権も制覇して、アマチュアで7冠を達成しました。
国内最短タイ記録!4戦目で「日本王座」に
2012年のプロデビュー戦後も順調に結果を残し、2013年8月25日田口良一選手との対戦で、判定勝ちを納めました。
これにより、辰吉丈一郎選手以来23年ぶりに当時国内最短タイ記録となる4戦目での日本王座(ライトフライ級)を獲得しました。なお、この記録は2019年に女子の千本瑞規選手、2022年に男子の但馬ミツロ選手により2戦に更新されています。
6戦目で「世界王座」獲得
2014年4月6日、WBC世界ライトフライ級王者のアドリアン・エルナンデス選手(メキシコ)に挑戦。試合の3週間前にインフルエンザにかかるなど、体調は万全に程遠かったようですが、第6ラウンドに接近戦から右フックでダウンを奪うとレフェリーがストップ。6R2分54秒のTKO勝ちを収めました。
これにより、当時日本人男子最速となるプロ入り6戦目での世界王座獲得に成功しました。
8戦目で「2階級制覇」
2014年11月6日、スーパーフライ級へ転向するためにWBC世界ライトフライ級王座の返上を発表した井上選手。
12月30日、WBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦しました。試合は序盤から井上選手が攻勢に出て、2R3分1秒KO勝ちを収め、当時世界最速となる8戦目での飛び級での2階級制覇を達成しました!
16戦目で「3階級制覇」
2018年3月6日、3階級制覇を目指すためにWBO世界スーパーフライ級王座は同日付で返上。
2018年5月25日にWBA世界バンタム級レギュラー王者のジェイミー・マクドネルと対戦し、1R1分52秒TKO勝ちを収めて、日本最速となる3階級制覇を達成しました。
WBSS初出場・IBF王座及びリングマガジン王座獲得
2018年にWBA、WBC、IBF、WBOのいずれかの世界王者または世界ランキング15位以内の選手のみが出場できる「World Boxing Super Series(WBSS)」に初参戦することが発表されました。
2019年5月18日、WBSS準決勝としてIBF世界バンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲス選手と対戦。無敗の王者同士の対決で、この試合が事実上の決勝戦とされていましたが、結局2R1分19秒で井上選手がTKO勝ちを収め、WBSS決勝戦への進出を決めると共に、WBA王座の2度目の防衛、並びにIBF王座及びリングマガジン王座獲得に成功しました。
2019年11月7日、さいたまスーパーアリーナでWBA世界バンタム級スーパー王者ノニト・ドネア選手と対戦し、判定勝ちを収め、WBA王座の王座統一による3度目の防衛、IBF王座の初防衛に成功し、WBSSバンタム級初代王者に輝きました。
日本人初の3団体統一王者へ
2022年6月7日、WBC世界バンタム級王者ノニト・ドネアと2年7か月振りの再戦となった井上選手。3団体統一王者の座をかけた戦いで、2回1分24秒TKO勝ちを収めました。この試合で新たにWBC王座を獲得、またWBA王座の7度目、IBF王座の5度目の防衛にも成功し、日本人初の三団体統一王者となりました!
PFPランキング第1位に選出
2022年6月11日、世界で最も権威のあるアメリカのボクシング専門誌『ザ・リング』が格付けする「パウンド・フォー・パウンド・ランキング(PFPランキング)」において、第1位に選出。2022年8月24日のランキング更新で、第2位に後退するまでの間1位を維持しました。
最後に
今回は、日本王座や世界王座獲得の史上最速記録を樹立してきた井上尚弥選手の功績をまとめてきました。
プロ入り後23試合無敗、20KOというとてつもない結果を残しており、3団体統一王者として、次なる目標は4団体統一王座。その4団体統一王座決定戦として、井上尚弥選手とWBO王者ポール・バトラー選手の対戦が12月13日に予定されています。
この4団体統一王座を最後にスーパーバンタム級への挑戦をされるのではと言われている、井上選手。いつまで無敗のままトライできるのか、楽しみです!